2022-01-11

                                         

  私は、最近歳を取ったせいか見習い当時を思い出すことが多くなりました。 朝は五時に起き、お客様へ行く支度、着けば直ぐに作業が出来るようにするのが見習いの役目でした毎日が前日と違い、慣れるまで段取りが大変な日々でした。

       

 そんな当時の私にとって楽しいのは10時と3時のお茶の時間です。お客様から「畳屋さん、お茶にしてください」と声が掛かると見習いの私が用意をします。親方や職人さんにお茶を注ぎ、親方が飲むのを待ちます。その当時は、親方が手を付けなければ、飲んだり、食べたりしてはいけない時代でした。見習の私は最後の最後に手を付けなくては、兄弟子(あにでし)に怒られてしまいますし、食べ終わるのも先に終わるよう常に目配りをしておりました。当時、都内の職人の世界は全てに作法や順番がありました。作法や順番が出来なければ、どこの親方でも「貴方、どこの店で仕事を覚えてきた」と言われる時代でした。要は小僧、見習いを一人前に育てるのが親方の役目でした。「嫌なら辞めな、ろくな職人にしかならないから」と言っていた時代でもありました。そんな時代ですから見習い(小僧)を厳しく育て上げ、一人前の職人に育て上げる時代でもありました。

      

ところで、お茶の時間には沢山の茶菓子などを出して頂き、残り物は半紙に包んで頂き持ち帰ったものです。時には3時には店屋物(てんやもの)蕎麦(そば)やラ-メンまで出てきました。  

      

作業仕事が終わり、片付けが終わると、「あぁ畳が奇麗になった。畳屋さん、ありがとうございました。」と何回何回もお客様から感謝され、いつの間にか見習いの私のポケットの中には沢山のお菓子が入っているのを昨日のように覚えております。当時はお腹が空き、仕事の厳しさを忘れてしまうほど嬉しかったことを覚えています。

      

 

日本人にとって大事なものは【畳】と【情緒】ですね!!

畳の上でゴロンとなって考えてみませんか?

                             記 穴水美樹

 

 

 

 

 

 

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