2018-05-17

「符丁」                                                   記 穴水美樹

 今日の話は、職人や同業者の人が使う言葉「符丁・ふちょう」です。ご存知ですか、商売仲間や同業者の合い言葉です。符丁言葉はどこから出たと言うと、いつも使う道具名や作業内容を使うことで一般の人には解らないようにしているのです。昔からお客様にも色々な方がいますので面と向かってはお客様を怒らせてしまいますからある意味職人同士のうっぷん晴らしの意味もあったようです。例えば私達、畳屋さんでは女性を(ハバ・小物差し)男性を(ナガサ・大物差し)お金を(シメイタ・作業)と言います。また、家族的商売をなさっている内々の言葉としても江戸時代から使われて来たと言われています。

今でも魚市場や野菜市場等々の(セリ)符丁で値段を決めています。先日の朝、魚屋さんの前を通った時に聞きました。ひと昔の商売人でしたら皆、符丁で会話を交わしていたのを思い出しました。我々、職人さんも同じでみな使っていました。珍しいのは落語家さんも今でも使っているようです。符丁には異業種も同じ符丁使うことがあり、例えば床屋さんと落語家、畳屋さんと下駄屋さんなのは同じ符丁を使います。昔こんな笑い話を聞いたことがあります。職種が違っていても符丁が同じですから、目の前のお客様の悪口を言っているように聞こえケンカになったこともあるそうです。また、かずの数え方も同じですから、値札が無い時代、店主はお客を見て同じ品物をちっと割高な金額を符丁で言うと店員は先ほど買ったお客さんと違いを符丁で言い返せば、お客様は符丁で安価な値段を返し負けてもらった言う話を聞いたことがありました。

また、当時は外仕事の職人は客様の家に伺って仕事をしましたので「符丁」は大事な言葉でもありました。何故「符丁」を使うのか親方や職人さんに聞いた覚えがあります。「お客様を一番大事な人」と考え、知られたくない事や迷惑を掛けないことが職人の思いで、また、それが背景でもあったようです。現在では、ほとんど職人は符丁使われなくなってしまいました。理由は徒弟制度(住み込み)や低賃金(こずかい程度)無くなり給料制度になった為と教える時間が無い、また、解らない言葉を使うと聞きているお客様への不安作り信頼関係を無くす為といいます。

符丁とは、「垣根」領域かもしれませんね、また、他人様の家に土足でズカズカと上がらないということかもしれませんね。今思うのですが、私は、符丁は大事な言葉と思います。人様の領域に入らないという事は・・・

 

追記 

昔の職人は符丁だけで一日を過ごせましたよ、私は、ほとんど忘れましたが・・・

いつも思うのですが、私の解釈ですが『伝統』とは昔から言い伝えられたこと。『文化』とは周りにあるもの、また、今遣ろうとしていること。これが伝統と文化の違いと思います。

大事にしましょう。『伝統と文化』を・・・   畳の上で考えてみませんか。

 

 

 

 

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